タウンミーティングin日立 報告

2017タウンミーティングin日立2

2017年1月28日に、「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会(いばけんつ)」主催のタウンミーティングin日立に参加してきました。午前中は、DPI日本会議の事務局次長である白井誠一朗さんから「難病当事者からみた障害者差別解消法」をテーマに講演をしていただきました。

白井さんは、産まれたときから先天性ミオパチーという筋肉の難病をもっています。15歳の秋に病気が進行し、17歳の時に障害者手帳を取得したそうです。幼い時は周囲の友達と同じように遊んだりできていたのに、高校時代に病気が進行していくにつれて、自分が障害者になっていくという意識に悩まされたそうです。大学時代に障害者運動と出会い、自分も障害をもつ当事者として運動していこうと思い、大学院卒業後、DPIで活動し始めたというお話をしてくださいました。


 難病は他の身体障害に比べて、障害による困難が周囲から分かりにくいという特徴があります。そのため当事者本人も周囲に合理的配慮を求めにくく、差別解消法を活用しにくいという現状があります。しかし、難病者にある程度共通しているのは体力的制限があることです。難病者は、健康な人よりも疲れやすく、働く時間や、自分で自由に使える時間が制限されてしまいます。

白井さんの場合、介助なしで歩けたりパソコンを操作したり、自分でできることも多い一方で、体力がなく、何かを「し続ける」ことが難しいため、地域で生活したり働いたりしていくためには、こまめに休憩をとれるような合理的配慮が必要だそうです。そのため、難病当事者にとっても差別解消法は重要な法律なのですが、難病当事者自身も、自分たちが差別解消法の対象であることをあまり理解していないため、差別解消法がうまく活用されていません。この現状を改善し、もっと難病当事者も地域で合理的配慮を受けられるようにするために、障害者運動を難病当事者の間にも広めていきたいと、白井さんは話していました。


 私は白井さんのお話を聞きながら、以前、他の難病を持っている友人に「もっと私のことも考えてよ」と言われてしまったことを思い出していました。たぶん、その時の私は自分のことで精一杯で、他の人に対する配慮ができていなかったんだろうと思います。表面的には自分よりできることが多いように見えても、実は疲れやすかったりというような、表面的には見えづらい困難を持っている障害者もいることに、当時の私は気づいていませんでした。もちろん今も、自分が他の障害当事者に対して十分に配慮できているとは決して言えませんが、もし自分が誰かに対して配慮が欠けていたことに気づいたときは、素直に謝って、これからどうすればいいのかをその人自身に聞けるような人間でありたいと思います。


 午後は生井さんから、茨城県障害者権利条例が成立した経緯や、今までのいばけんつの活動について説明がありました。条例が施行されたのは平成27年4月ですが、その何年も前から、条例を作るために、ほにゃらやいろはの人を中心として、県内の障害者団体が団結して運動していたことを初めて知りました。当事者が中心となって、茨城県障害者権利条例がつくられたのだから、これからも「差別」と感じたことについては当事者が積極的に声を上げて、条例を十分に活用しながら、もっと障害のある人もない人も幸せに暮らせる地域づくりをしていけたらいいなと思いました。そのあと、実際にあった差別事例を用いて、その事例は差別に該当するのかどうか、該当するとしたら、「直接差別」「間接差別」「関連差別」「合理的配慮の不提供」のどれに該当するのかについて、参加者の間で話し合うというグループワークをしました。私は、そのグループワークで、事例が差別に該当することはわかっていても、それがどの種類の差別に該当するのかを具体的に説明できないものがありました。

また、「これも多分、差別になるんだろうなあ」と思う事例であっても、実際に自分が日常生活で同じような場面に遭遇したら、「仕方ない」とあきらめてしまうだろうと思う事例もありました。しかし、少しでも差別だと感じたら、茨城県障害者権利条例の相談窓口に相談してもらった方が、一人一人の相談が事例として蓄積され、条例がより良いものになっていくという説明がありました。一つ一つの小さな差別を見逃さずに、当事者が声を上げていくことが差別のない社会をつくることにつながるんだなと思いました。 (川端舞)

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