2月18日に筑波大学の講義室を借りて、重度知的障害・行動障害のある人たちの自立生活を描いた映画「道草」を上映しました。映画には、介助者と一緒に試行錯誤しながら、自分らしい生活を模索する当事者の姿がありました。物を壊してしまうなどの困った状況が起きた時に、本人の気持ちや、自立生活をする前までの経験なども想像しながら、なぜそのようなことが起きたのかを考える態度が介助者側にあることで、問題を起こした自分を責めるのではなく、自分が抱えている問題を一緒に考えてくれる安心感が、当事者本人にも伝わり、介助者と一緒に自分のやりたいことをやってみようと思えることにつながるのだろうと思いました。私自身、問題が起こると、つい自分を責めてしまう癖がありますが、「ほにゃらの介助者は私を責めることはほとんどないだろうな」と思えることが、安心して自立生活をできていることに繋がっているのだろうと改めて思いました。また、ずっと家の中で過ごすよりも、介助者と一緒に外出できた方が、表情が明るくなった様子を見て、「自分の好きなところに行けること」は自分らしい生活を送る基本なのだなと思いました。
一方、本人のこれまでの経験を想像しながら、本人の行動の意味を探ったり、本人のやりたいと思っていることをくみ取るためには、長い期間を本人と一緒に過ごすことが大切だと思います。映画の中にも、子どもの頃から関わり始め、当事者が自立生活を始めた今も関わり続けている介助者が登場していました。
映画上映後、劇中に登場した重度知的障害の当事者の父親で、早稲田大学の教授である岡部耕典先生に、知的障害者の自立生活について障害者権利条約に関連させながらお話していただきました。岡部先生の息子さんは、将来の自立生活を見据えて、子どもの頃から介助者と一緒に過ごす時間を作り、「将来は自立生活をさせたい」という希望を行政とも共有していたため、高校卒業後、スムーズに自立生活を始められたそうです。やはり、自立生活をスムーズに始めるためには、子どもの頃から介助者と一緒にいろんな経験をし、当事者と介助者の双方がお互いの存在に慣れていくことが大切なんだなと思いました。昨年から本格的に再始動している「ほにゃらキッズ」も、障害児と介助者がともに経験を積んでいく場所になりたいです。(川端)